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モーリシャスへの汐路

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☆1992年10月 パシッフィクプリンセス Azamara Onward - Wikipedia  ホノルルから横浜まで10日間。27000トンのかわいらしい船でした。この船で太平洋の荒波を乗り切るのは、私には素敵なことです。私は船酔いをしたことがほとんどありませんでした。自分は船酔いをしない体質なのだと思っていました。大阪公立大学名誉教授の池田良穂先生は造船の専門家ですが、船酔いの研究もされました。先生によれば、船酔いは目から入る情報と、体の揺れを感じる感覚のずれによって生じるそうです。先生の実験によると、動かないように椅子に座らせ、周りの壁を動かしても、船酔いの症状を起こすそうです。だから船に乗って、気分が悪いからと寝込んでしまうと、起きると揺れを感じて気分が悪くなり、最後まで船酔いから逃れられないそうです。船に乗ったら、しばらくあちこちを歩き回り、自分も船も揺れているのを十分認識することが船酔い防止に有効だそうです。  実は、私は人一倍揺れに弱いことを、かなり後になって知りました。それは、コンテナ船が海賊に乗っ取られ、船長が人質になった実話をもとにした映画を見た時のことでした。  船長がニューヨークの家を妻に送られて出かける冒頭のシーンからすぐに海の上になりました。ロケには実話と同型のコンテナ船、海賊のボート、テンダーボート、海軍の軍艦が使われたそうです。私は海上のシーンになったとたん体が熱くなり、ぐーとこみ上げてきました。さっき食べたものが悪かったのか?いや、これは船酔い、いや陸酔い。幸いにも一番前の席で、左隣が空いていたので、私は半身を隣の席に横たえて、その映画を見終えました。 終わった後、振り向くと誰も酔っているようには見えませんでした。私はその時心の中で「あなたたちは強い。恐れず船に乗りなさい」と叫びました。私は船がなんとはなく好きで、乗船するとウキウキしてあちこち探索し、日頃よりよく歩くので船酔いしなかったのです。  ロゼッタと会ったのはこのパシフィックプリンセス船上でした。彼女は1人でこの船に乗り、数日東京に滞在する予定で、私に声を掛けました。彼女が予約したのはヒルトンホテル・東京ベイ。私はこのホテルは東京ではないと教え、新宿のヒルトンに変えるようアドバイスをしました。彼女は数日滞在し、私が勤めていた毎日新聞にもやってきて、見学し、我が家でお茶も飲